光学部品の洗浄とは?効果や洗浄方法について

最近では光学機器も小型化が進み、光学部品もかなり小さくなりました。光学系の少しの汚れが顕著に影響するようになったため、レンズ洗浄の重要性は以前に比べて高まりました。

スマートフォンを代表する電子機器に光学系が搭載されるようになり、小型化の重要性が一気に高まりました。小さくなればなるほどちょっとした汚れが影響します。最終的に製造される光学系は、できる限りきれいな状態にしなければいけません。そのためレンズ洗浄にかかる重要性は高まり、方法とその効果を理解することがとても重要です。

光学部品の洗浄とは

光学部品を洗浄する目的は、光学性能を最大限に引き出すことです。レンズなどに埃や油膜などの汚れが付着しているとそれが光を遮ったり、散乱してしまう恐れにつながります。映像なら影が発生したり、ぼやけたりする恐れがあります。またレンズを保護するためにコーティングを施すような時に、汚れがあると仕上がりが悪くなり期待した性能を引き出せないかもしれません。

光学部品の洗浄を環境によって大きく分類すると、乾式と湿式になります。乾式はエアブロアーなどで表面に付着した埃を取ることができます。非接触で処理できるので、部材の表面に与える影響が少ないことと残留物が残らないと言うメリットがあります。ただし油膜など癒着しているようなものには効果がありません。不織布などの柔らかいもので拭き取ることもあります。表面にある油膜なども取れますが、新たに埃がついてしまう恐れがあることや、力の加減によって表面を傷つけてしまう恐れが否定できません。

湿式は洗浄剤やアルコールなどを使って表面を洗い流す方法です。油膜なとをうかして取り除くこともできるので、高い効果が期待できます。洗浄剤を使う時には、残留物に注意が必要です。せっかく汚れが除去できても、洗剤が残ってしまっては意味がありません。そのためすすぎの工程が重要となります。きれいな水を使うことでしっかりと洗い流します。このような洗浄を一度にできるのが、超音波洗浄機です。超音波の力で表面に付着した汚れを取り除くことが可能です。細かな溝にも入り込むことができるので、安心です。すすぎの効果も期待できるので、洗浄とすすぎを一度にできるメリットがあります。

光学部品の洗浄効果とは

光学部品の洗浄は、どれか一つで十分と言うことはありません。それぞれ効果が異なり、デメリットもあるので、組み合わせて行うことでお互いの足りない部分を補うことができます。この組み合わせや順番を考えることで、最大の効果を引き出します。

光学部品が汚れていると期待される性能が引き出せないことは当然のことです。そのためどのような洗浄をすることでも、性能を低下させる要因を低減するが可能です。完全に除去することは難しいですが、実施した事による効果は、かなり高いと言えます。

レンズに付着している埃があると、そこを通過することで影ができます。信号として使われるような部品では、適切に信号が送られないと言う問題が発生します。小さなものでもハレーションの原因になるなどの問題が発生するので、光学的に障害となる大きさのものは完全に除去しなければいけません。ブロアーでも湿式の洗浄でも、これらの埃を除去する効果が期待できます。

レンズについた油膜などは、光を散乱させて減光したり、新たな影響を発生させたりする恐れがあります。またコーティングを行うときの邪魔になるので、除去をしっかりと行わなければいけません。乾式では不織布などで拭き取ることで、問題になる油膜を取り除くことが可能です。然りと取り除くためにはアルコールなどの揮発性の高いものを併せて使うことで、しっかりと取り除くことが可能です。ただし樹脂系のレンズの場合、アルコールで表面が荒れる恐れがあるので注意が必要です。超音波洗浄でも埃や油膜を取り除くことが可能です。終わったら水滴が残らないようにアルコールによる水分の除去や乾燥を行わなければいけません。

光学部品の洗浄に使う道具

光学部品の洗浄するときには、まず手袋を用意します。人の手には保護のために油分があります。この油分が指紋となって触ったものに残ってしまいます。そのためパウダーなどがついていないラテックス製の手袋を使うと安心です。大きさが合っていないと、扱いづらいので注意しましょう。

乾拭き用のツールも必要です。綿100%の素材で作られた布だとレンズへの影響が小さいので安心して使えます。糸屑が出てしまいますが、後で除去できるのでその点は問題ありません。この素材なら静電気が起きにくいと言うメリットもあります。静電気が発生すると洗浄後に埃を寄せてしまう恐れがあります。洗浄中に光学部品を置くために敷いておくと良いでしょう。不織布などで作られたウエスも拭き取りには利用可能です。あまり毛羽立たないようなものを選んだ方がいいでしょう。

超音波洗浄機も便利なので、利用すると良いでしょう。洗浄槽タイプを使えば、一度にたくさんのレンズを洗うことが可能です。洗浄の初期段階で行い、大まかな汚れを一気に取り除くことができます。アルコールは、油分を取り除いたり、残留した水分を取り除くために使われます。イソプロピルアルコールやアセトン液などが一般的で流すようにして使います。ただしレンズの素材によっては、アセトン液によって白濁する恐れがあるので、事前に確認しておくことが重要です。エアブロアーも準備しておくと便利です。フィルターによって不純物がないエアを圧縮して送ることができるものが良いでしょう。水分が含まれるようなものを吹き付けると、水垢などが残るので注意が必要です。

光学部品を洗浄する際の注意点

光学部品を洗浄する時には、まず新たな汚れをつけないことを注意します。例えば指紋は必ずついてしまうものなので、常に手袋や指サックを着用することが重要です。パウダー付きのものだとそれが付着するので、使わない方が良いでしょう。また洗浄中に部品を置くところにも注意しましょう。汚れたところに置いてしまうと二次的な汚染が発生します。洗浄に使うのと同じ素材を敷いておくと安心です。使用するツールには、静電気が発生しないものを使うことも重要です。静電気は光学部品の表面に帯電して、汚れを引き寄せることになります。洗浄前には必ず静電気除去を行います。

光学部品を持つ時に指紋を残さないようにピンセットなどを使う場合がありますが、傷つけないようなものを選ぶと安心です。金属でできているものは、光学部品よりも硬いので傷がつく恐れがとても高いので、使用しない方が安心です。木製や竹製が柚香ですが、樹脂製のものでも利用可能です。真空引きのもので固定することも二次汚染を防ぐ効果が期待できます。

洗浄中はしゃべらないことも気にした方が良いでしょう。唾液などの飛沫は気がつかないうちに飛んでいるので付着した場合に取れなくなる恐れがあります。細かなものだと付着していることに気が付けないかもしれません。マスクをしたり、洗浄している場所の前にアクリル板を設置するなどの配慮も必要です。小さな埃を取り除くために拡大鏡があると便利で、確認用にバックを黒にしておくとしっかりと汚れを見つけることが可能です。照明も明るくできれば油膜などの反射を見つけやすくなるので、環境にも注意が必要です。

レンズ洗浄の効果に求められる期待は、かなり高くなりました。光学部品が求められる性能は年々高くなっているので、設計した性能を最大限引き出すことが重要です。そのために光学部品の洗浄は重要な工程と言えます。